いくつかの学校で非常勤講師をさせていただいていることもあり年度変わりのこの時期には学生から進路について相談されることがあります。
私自身、志半ばなのでアドバイスできる立場ではなく逆に私の将来について学生に相談するようにしています。最初は引いていますが学生も他人の事になるとけっこう考えがまとまるようでいいアドバイスをしてくれます。
世間では「最近の若い者は・・・」と言われることが多いですが、それは今に始まったことではなく大正時代にもそう言われていたんだと思います。世代が違えば価値基準も違うわけですから自分を基準で考えると理解できないことも多くなってしまいます。考え方や価値観が違うからこそ自分にはない発想も持ってます。教えることは学ぶことと言う人がいますが、本当にその通りで勉強させてもらってます。
とは言うものの自分のことだけで終わったら申し訳ないので学生にはあるスピーチを紹介することがあります。2005年のスタンフォード大学卒業式での米国・アップル社CEOのスティーブ・ジョブズの祝賀スピーチです。一時期けっこう話題にもなったスピーチです。
3つの話しをしています。「点を繋げること」「愛と喪失」「死」。
特別彼のファンということもないのですが、心に響くものがあります。
「点を繋げること」では大学を中退後に勉強したカリグラフィ(飾り文字)が、Macの開発の際にすごく役立ったとのことです。そして以下のように語っています。
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未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない。自分の根性、運命、人生、カルマ…何でもいい、とにかく信じること。点と点が自分の歩んでいく道の途上のどこかで必ずひとつに繋がっていく、そう信じることで君たちは確信を持って己の心の赴くまま生きていくことができる。結果、人と違う道を行くことになってもそれは同じ。信じることで全てのことは、間違いなく変わるんです。
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今やっていることがいつ何に役立つかは今わからない。人生をふり返ってみて点と点が繋がる。
3つ目の話「死」では彼自身の病について語っています。自分が死と隣り合わせにあることを忘れずに思い人生を左右する重大な選択を迫られた時には常に、決断を下す最も大きな手掛かりとなっているそうです。
私も昨年彼と同じように癌を患いました。リアルに死を意識すると物事の価値基準も大きく変わります。診断が下った日はいつも見ている風景も違うように感じたのを覚えています。死がすぐそこまで来たわけではないですがそれを意識できたことで自分の人生にプラスになりました。
彼は現在健康上の問題から休職中とのことですが、また心に響くスピーチを聞きたいです。